現代製薬の医薬品/虫下し : 内部寄生虫の駆除薬
☆ 現代製薬の医薬品/虫下し : 内部寄生虫の駆除薬
「ピペラックスシロップ」
Q1:内部寄生虫とは?
A1:体の中に寄生する虫で、主なものに消化管内(腸内)に寄生する回虫(かいちゅう)、鉤虫(こうちゅう)、鞭虫(べんちゅう)などの線虫類、瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)などの条虫類、血管内に寄生するフィラリア(犬糸状虫)があります。消化管内寄生虫で最も感染が多くみられるのは回虫で、次に条虫、鉤虫です。
<犬回虫>虫体(成虫) | <猫回虫>虫体(成虫) | |
(白色~黄白色) | (白色~黄白色) | |
♂:4~10cm | ♂:3~7cm | |
♀:5~20cm | ♀:4~12cm | |
【感染経路:経口・胎盤・経乳】 | 【感染経路:経口・経乳】 |
<犬鉤虫>虫体(成虫) | 口縁部の拡大図 | |
(白色~灰白色) | 3対の鋭い鉤で吸血を行う。 | |
♂:0.8~1.2cm | 寄生が多い場合には貧血症状を呈する。 | |
♀:1.5~2.0cm | ||
【感染経路:経口・胎盤・経乳・経皮】 |
Q2:現代製薬の虫下しは?
A2 :液体タイプの『ピペラックスシロップ』があります。回虫(便の中に3~20㎝)のみに駆虫効果があります。
Q3:寄生虫の感染の確認は?
A3:寄生虫の卵は糞便中に排泄されますが、肉眼的には全く見えません。動物病院での糞便検査や嘔吐物、糞便中に含まれる成虫の排泄を発見して初めて感染が分かります。フィラリアを除く内部寄生虫の感染は、一刻を争う病気ではないので、嘔吐物や糞便中に含まれる成虫を発見してからの対応で十分に間に合います。ただし、犬猫の回虫は母子感染があるので、特に交配前の駆虫が重要になります。3ヵ月齢未満の幼若な犬猫への投与はリスクを伴いますので、動物病院で対処された方がよいでしょう。
Q4:条虫とは? 条虫に効く薬は?
A4:条虫は別名サナダ虫といい、瓜実(ウリザネ)条虫はノミやシラミなどが媒介し、扁平で細長く、体が0.5~1㎝ぐらいの節に分かれています。大きい個体では体長50㎝以上、片節数100個以上となります。成熟・老熟した片節が虫体から離脱して肛門から体外に出ると、自発性の運動を行い、次第に崩壊し、虫卵を放出します。肛門の周囲、犬猫が使用している敷物の上に白色~乳白色のゴマ粒または米粒のようなものが条虫です。現在、条虫の駆虫薬は市販されていませんので、動物病院での対処が必要です。
Q5:虫下しの投与量は?
A5 :☆ピペラックスシロップの投与量
<計量は、添付のスポイト(3mL用、1目盛0.5mL)を使用します>
体重に応じて1日に与える量を決めて、1日量を1回与えます。そのまま与えるか、水または牛乳、食事などに混ぜて与えます。体重1㎏につき0.55~1.1mLが1日に与える量です。(初めて与えるワンちゃんネコちゃんには、体重1kgにつき0.55mLで様子を見ることを推奨します。)
*過剰投与になりますので1日量を投与した翌日以降に連続の投与は行わず、再度駆虫を行う場合は10日以上間隔を空けてください。
● 1日量 投与例(ピペラックスシロップ)
犬・猫の体重 | 1日投与量 | ||
---|---|---|---|
2.0kg | ・1.1mL×1回 | ||
5.0kg | ・2.75mL×1回 | ||
10.0kg | ・5.5mL×1回 | ||
30.0kg | ・16.5mL×1回 |
*再度、駆虫をする場合は必ず10日以上間隔をあけてください。
Q6:虫下しの効果と投与間隔は?
A6:虫下しがお腹の寄生虫に効くと、投与1~3日後にけいれん・マヒを呈した成虫が糞便中に出てきます。回虫に対する虫下しは、小腸に寄生している成虫には効果がありますが、卵や体内を移動している幼虫には効果はありません。幼虫が成熟するのを待って、再度、虫下しを投与して回虫を駆除します。通常10日間隔で2~3回程度繰り返していただくと、お腹の虫はいなくなります。
※糞便の中に排出された卵には感染能力があり、まれに人へ感染することがあります。人への感染を防ぐためには、感染動物の駆虫を早めに行い、排出された糞便を速やかに処理することが大切です。処理後は、必ず石鹸で手を洗う習慣をつけましょう。Q7:投与のタイミングは?
A7:虫下しは、消化管内をゆっくり通過した方がよいので、食事中あるいは食後30分以内に与えた方がより効果的です。食間に与えても効果はあります。
Q8:投与の仕方は?
A8:液体タイプは、直接スポイトで口角から奥の部分へ、または少量の飲み物に溶かして投与します。
Q9:寄生虫が下痢便中に排出されていたら?
A9:下痢をしているときに虫下しを与えてしまうと、下痢を悪化させてしまい、治りにくくなってしまうことがあります。寄生虫がいても一刻を争う病気ではないので、まず下痢の治療を優先し、下痢が治まってから駆虫を行うようにしましょう。
【参考資料】
回虫の感染
回虫症の症状
◇回虫症
- 成犬、成猫が感染した場合
感染しても症状が現れない「不顕性感染」が主です。 - 幼犬、幼猫が感染した場合
多数の成虫が寄生した場合:腹部の異常膨大(腹部膨満、ガス腹といわれる)・呼気の特異的甘臭・元気消失・発育不良・削痩・被毛粗剛・食欲不振・嘔吐等を呈します。